自然のかけらを鳴らす


自由な秩序によって。また音楽のように流れるように。

そのための楽器をいくつかこのブログでも集めてきた。

古典的には黄金比から始まり、フラクタルまで。
オノケンノート ≫ B046 『建築とデザインのフラクタル幾何学』

プロポーション・テクスチャー・カオス・フラクタル・ゆらぎ・自然・美・ルーバー・断片・繰り返し・粒子・拡大・縮小・安らぎ・DNA 僕の中ではこれらの言葉がなんとなくひとつのまとまりとしてイメージされつつある。 “美とはDNAの中に刷り込まれた自然のかけら”だとすれば、造型論やプロポーションやフラクタルはそのかけらを共鳴させるための楽器のひとつといえるかもしれない。

アフォーダンスを皮切りにもっと流れるような「関係性へ」と移っていく。
オノケンノート ≫ B047 『アフォーダンス-新しい認知の理論』

ところで、認知に対する認識を改めることは、建築やデザインにとってどのような意味があるのだろうか。 それは、”自然のかけらを響かせるための楽器”の形を改める、ということだろう。 (例えば視覚に対して)、単なる刺激としてどのようなものを与えるかと形を考えるより、相手の知覚システムのどのような動き・モードを、どのようにして引き出すかと考えたほうが、より深いところにある”かけら”を響かせることが出来るのかもしれないし、それは言い換えると「モノ」と「ヒト」とのより良い関係を築くことかもしれない。

デザイナーは「形」の専門家ではなく、人々の「知覚と行為」にどのような変化が起こるのかについてしっかりと観察するフィールド・ワーカーである必要がある。リアリティーを制作するためには、リアリティーに出会い、それを捕獲しなくてはならない。
そのようにして、環境からピックアップされたリアリティーが自然のかけらの一つであるのかもしれない。

ほかにも、佐々木氏の著作はヒントにあふれている。
オノケンノート ≫ B118 『包まれるヒト―〈環境〉の存在論 (シリーズヒトの科学 4)』

自己と環境の間の断絶を乗り越え関係を見出したときに人は生かされるのである。同じように、建築においても狭い意味での機能主義にとらわれ、自己と対象物にのみ意識が向いてはいないだろうか。 その断絶を乗り越え、関係性を生み出すことに空間の意味があり、人が生かされるのではないだろうか。 そのとき、これらの事例はいろいろなことを示してくれる。人は絶えず「全体」を捉えようとするが、逆説的だが俯瞰的視点からは決してヒトは全体にたどり着けないのではないだろうか。

オノケンノート ≫ B049 『レイアウトの法則-アートとアフォーダンス』

そして、ドゥルーズやオートポイエーシスのように(といってもこれらを理解できているわけではない。単なるイメージ)絶えず流れていることが重要なのかもしれない。 幾重にも重なる関係性を築きながら流れ創発していくこと。 建築を確固たる変化しないものと捉える事が何かを失わせているのではないだろうか。

また、そのための具体的な道具として構造の可能性を追求することは必須に近いが個人的には踏み込めていない。

オノケンノート ≫ B058 『informal -インフォーマル-』

構造はあきらかに”自然のかけらを鳴らす楽器”の一つであるはずである。

こういう流れは、つぎのような感覚の裏返しかもしれない。

柱と梁をグリッドにくむようなラーメン構造のような考え方はそれ自体20世紀的で、大型のマンションのように人を無個性化しグリッドの中に押し込めるような不自由さを感じてしまう。

ラーメン構造というのは不自然で(おそらく自然の中では見られない形式だろう)そういうものに何でも還元できると言う人間の傲慢さと、一度出来上がった形式を思考停止におちいったまま何度もリピートしてしまう怠慢さが現れているようで気がめいる。

ある種の不自由さ、堅苦しさから、軽々と抜け出してみたい、というのが今の空気じゃないだろうか。

オノケンノート ≫ B019 『建築的思考のゆくえ』

最近僕は、時間を呼び込むために空間的に単純であることが必要条件ではない、と感じ始めている。 一見、饒舌にみえても、その空間に身をさらせば、自然や宇宙の時間を感じるような空間もありうるのではと思うのだ。 たとえば、カオスやフラクタル、アフォーダンスといったものが橋渡しになりはしないだろうか。

『自由な秩序や関係性によって、音楽のように流れるように、軽々と抜け出してみたい』というのは今の時代や僕らの世代にある程度共通する欲求なんじゃないかと思うんだけども、ほんとのところみなさんどう感じているんでしょう。




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