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Region NO.09

鹿児島にはもう一冊、質の高い文化的フリーペーパーがあります。

それは、友人も企画に係わっている渕上印刷のRegion

昨日垂水に打ち合わせに行ったときに 市役所の待合に置いてあったのでもらってきました。

そういえば特集は『焼酎遺産』。かごしま探検の会の東川さんが取材を受けたと言ってました。

帰りのフェリーで読んでみると、いくつかの文章が心に残る。

まずは冒頭の岡田氏のエッセイ『「どうだ」より「どうぞ」の美学』より

在来の素材は、確かに水や雨や風を「どうだ」と遮ってはくれない。(中略)しかし、そのぶん人の気持も優しく受け止めてくれる。(中略)ただ私は、「どうだ」とそびえる二百メートルを越すガラス張りのビルより、二百年を経て「どうぞ」とたたずむお堂に心が和むだけだ。(中略)
柱のはしばし、梁のすみずみ、甕の肌のきめのひとつひとつに、そこにただよう菌や気や人々の思いが息づいている。容れるものと容れられるものが相通じる。

まさしく僕が大切にしたいと思っていること。『容れるものと容れられるものが相通じる。』状態なんて本当に理想です。いや、ほんと最後の一文はそのまま僕の理想として掲げてもいいぐらい。
次に東川さんの文章

遺産というものは、単なる遺物または過去の物ではなく、現在の社会といつかの時代とを「文化」や「物語」で結びつける関係性の象徴だ、と私は思う。つまりこれまでとこれからの両方を伝えるものであり、また遺産のある地域の表情を伝える役割を担うものであるとも考えている。

いまのものづくりの多くに決定的に欠けているのはこういう時代を超えた視点と関係性をつむぐ想像力だと思う。それにしても東川さんはこういう艶っ気のある文章も書けるのですね。さすが。(艶っ気のある全文はregion読んで下さい。)

最後に大石酒造の大石社長の言葉より。

焼酎造りにおいて、常に一定の味を保つことは確かに重要かもしれません。しかし、自然の材料を使っている以上、たとえば芋の状態によって去年と今年では当然味は変わるわけです。そのゆらぎの幅を許容することで、古い技術や設備が受け継がれていくのではないかと思います。

伝統に真正面から向かい合っている人だけあって言葉に重みがあります。このことは全く建物についても言えます。『ゆらぎの幅を許容する』ゆとりの精神、これを持てるかどうかでうまい焼酎を毎日飲めるかどうか(建物についても同じ)が決まってくるように思います。
しかし、実際はこのゆらぎを全く認めないような世の中になってきているようで怖い。(関係する視点でイトイさんが管理について語ってます。「前回」の文から読むと面白いですよ。)

(引用中の強調はオノケン)




Region


まだ見ていないが鹿児島の地域ブランディングを考えるフリーペーパーというのがあるそうだ。

実は高校の同級生で腐れ縁のあるM氏が企画から積極的に関わっているものだ。
何度か彼からこういうものをつくるという話は聞いていて少し気にしていたのだけれども、もう2号まで出ていた。

Region=「地域、地方」という言葉に『開かれた地域』という意味が込められている。

彼が東京から鹿児島へ戻るときに熱く語っていたことが一つの形としてここに現れつつある。

彼は彼のもつ情熱や人なつっこさと言った持ち味を生かしつつ一歩一歩前に進んでいる。

ちょっと悔しいけどまいった。

僕は、自分の進む確かな道を定めかねてしまっている。

自分の持ち味を生かせる、自分の生きられる道はどこにあるのだろうか。

大学の3回生の終わりごろ、お世話になった先生に『建築とは何か』と尋ねられた時に深い森に迷い込んでしまった感じがしたが、今も同じように不安と希望の森に迷い込みつつある。

今回は自ら進んで森に入ったようなものだし、その森もぼんやりとは見えつつはある。
しかし、だからこその迷いがある。

こんどこそこの森を抜け出したい。

だからあともう少し歩いてみよう。

そのための歩く力をこの情報誌から/彼から少しもらおう。

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近所のMisumiに置いてあるようなので原付を走らせ店員に聞いてみたが、今切れているそうだ。残念。
明日にでも探してみよう。
今回Close upされているN氏も同級生ではないか。はー。