1

リノベーションと棲み家

このごろ、家の近くの住宅が数件立て続けに解体されました。
そのうちひとつはRCの集合住宅として工事が始まっています。
写真の家は内部の壁と天井及び瓦がきれいに撤去され、窓から覗くがらんどうがとても心地よさそうに見えたので、もしかしたらどこか設計事務所が入ってリノベーションされるのかな、と思っていたらあえなく解体されてしまいました。単なる解体の分別だったようです。

リノベーションスクール以降、リノベーションについていろいろと考えたり勉強したりしています。(サイドバーにリノベの項目を増やしたり。)
空き家を見ると、ここにどうやって棲み着こうかと考えたり、どんな人が入ればぴったり来るだろうかと考えたり、明らかに見え方が変わりました。
それは、動物が環境を読み取って巣にしようというのに似ているし、いろんな昆虫がさまざまな環境に棲み着いているのを観察することにも似ています。

ずっと、棲み家という言葉を一つのテーマにしているのですが、そういう点ではリノベーションという方法は「棲み家度」をかなり高く出来る可能性を秘めていて、「地形」的要素をある程度担保されているように思います。
これは既存部分の持っている懐の深さや、既存部分と新規部分の関係の築き方にもよりそうですが、

まず、(地形)は(私)と関係を結ぶことのできる独立した存在であり環境であると言えるかと思います。 (私)に吸収されてしまわずに一定の距離と強度、言い換えれば関係性を保てるものが(地形)の特質と言えそうです。 この場合その距離と強度が適度であればより関係性は強まると言えそうです。(オノケン【太田則宏建築事務所】 » 「地形のような建築」考【メモ】)

リセットによって(地形)を感じなくなったと考えると、逆に(地形)の特質はプロセスが織り込まれていることであり、現時点もまたプロセスに過ぎないということになるかもしれません。 そして織り込まれたプロセスが重層的・複雑であるほど(地形)の特質は強まると言えそうです。

この【自立的関係性】と【プロセス性】という(地形)の特質を新旧それぞれのレイヤーを意識しながらどこまで高められるか、という所にポイントがありそうです。

そんなことを考えながら、せっかく顕になった(地形)が重機によって壊されていくのを見るのは、自分たちの棲み家を重機で破壊されていくのを指を加えて眺めるしかない動物のようだなー、と思ったり、僕らにはそれを止める知恵、技術と論理を持つことができる、と思ったり。

虹はどちらにかかってるんだろう。




リノベーションスクール@北九州に参加しました


8/30~9/2の4日間、小倉で行われたリノベションスクールに参加してきました。
リノベーションスクール @北九州 | 座学と実践からリノベーションの最前線を学ぶ!

非常に密度の濃い有意義な4日間で、他では得難い多くの経験が出来たと思います。各レクチャーはもちろんのこと、実際の案件を対象に真剣勝負でそのプロセスを経験できたことがとても良かったです。思考のプロセスの枠組みをリアルに体験できたことは、自分の目の前の問題に対してアプローチする際にも、また本を読んだり考えたりする際にも、実体験としての記憶の参照元として今後大きな財産になってくれると思います。
いつまで公開されているか分かりませんがレクチャーの動画へのリンクは下記の場所にまとめてありますので是非御覧下さい。

第三回リノベーションスクール@北九州 – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)


今は、熱気と記憶が身体に残ってるうちにと、ここで学んだことやその後追加で学んでいることを自分なりにまとめているところです。最終的にはA6用紙50枚程度のハンドブックのかたちにして、何度も繰り返し読むことで身体に染み込ませておきたいと思っています。

そんな中、レクチャーとユニットワークを通じて経験できたスキームをなるべくシンプルに纏めてみました。出てくるフレーズはほとんど全てがレクチャラーのもので、自分なりに流れを整理しただけですが、徐々にバージョンアップさせて自分の言葉に置き換えていけたらと思っています。(まだかなりぎこちない感じですし、エリアヴァリューのようなこともあまり触れられなかった。)
▼クリックで拡大します。

こういったスキームは商店街の活性化・商用空き不動産・空き住居の活用などに限らず、多くの場所や人の抱える問題に対するアプローチとしても有効だと感じました。
当然、スキームが問題を解決してくれるわけではなく、慣習的なやり方とは比較にならないような幅広い知識と経験、アイデアや哲学、行動力やコミュニケーション能力が必要になってくるので、自分なりにできることをしていくとともにチームとしてのあり方も考えていく必要がありそうですね。

自分たちの生活を豊かにするために、何か積極的に仕掛けられないか模索していくとともに、何か課題を抱えている人の力になれるようになりたいと思っていますので、気軽に声をかけて頂ければと思います。

もちろん単純なリフォームや新築についても、絶賛相談受付中です!