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W015『苓北町民ホール』


□所在地:熊本県天草郡苓北町
□設計:阿部仁史+小野田泰明
□用途:集会場
□竣工年:2002年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
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2003年日本建築学会賞受賞作

機能と形態の内外の関係、” 目的に応じて有機的に機能する自由度の高い空間とこの町らしさを表現する独創的な造形の共存”ということで、ぜひ内部を見てみたかったのだけれども、残念ながら休館のようだった。

何かのイベントの時にこれれば一番良かったのだけれども。

道路側の正面はそっけないほどにあっさりしているが、全体的には”有機的”と呼べるような形態をしている。

しかし、押し付けがましさやしつこさはない。
”有機的”だから自然に感じるというように単純ではないだろうが、一見突飛にみえる形が”さりげなさ”をもっているというのはどういうことだろうか。

どんな力が形態を導いたのだろうか。

そんなことが気になる。






(内観はガラス越しです)




W014『牛深ハイヤ大橋』


□所在地:熊本県牛深市
□設計:レンゾ・ピアノ+ピーター・ライス+岡部憲明+マエダ
□用途:臨港連絡橋
□竣工年:1997年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
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海彩館の敷地を横断するかたちで橋がかかっている。

”最も簡潔な表現によって、一本の線として風景の中に橋を浮上させることで、自然の中に浸透させることを試みた”というようにそのシンプルなラインは美しかった。

人工と自然という対比の中で、力強さと繊細さ、傲慢さと謙虚さと言うものが一つの構築物の中で共存しているのは稀な存在であろう。

サイドに並ぶ防風パネルは内側に仕掛けられた照明によって内外に光の効果をもたらすような形をしており、夜のライトアップされた姿を念頭においてデザインされているようである。

しかし、牛深と長島(鹿児島)を結ぶフェリーは19時までしかなく、乗り損ねたら大変なのと体調を考えて残念ながら夜景はあきらめた。

夜の光のライン。見てみたかったなぁ。







W013『うしぶか海彩館』


□所在地:熊本県牛深市
□設計:内藤廣
□用途:水産観光センター
□竣工年:1997年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
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内藤廣は今僕の日本で気になる建築家のベスト3に入る。
ようやく実作を観ることができた。

建築が声高に主張するわけではないが空間が生きている。
廻遊性があり自由度の高い空間が楽しい。

権力ではなく包容力。

軽快な屋根と吹きさらしの場と言う選択が心地よさを生み出している。

単なる市場ではないかと言われれば、そうかもしれない。

しかし、その潔さと、すんなりと気持ちの中におさまる感じはなかなか出せない。










W009 『八代広域消防本部庁舎』

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□所在地:八代市大村町字羽須和970
□設計:伊東豊雄
□用途:消防署
□竣工年:1995年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
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近くで見ると多少の汚れがあったりして、その建物の抽象性が薄れている感はあったものの、こちらも予想通りのといった印象でした。

伊東さんのような、建物に(狭義の)リアリティを求めすぎないような思想の場合、そういった印象を抱かせることが最も難しいのであろうが。





W008 『八代市立博物館 未来の森ミュージアム』

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□所在地:八代市西松江城町12-35
□設計:伊東豊雄
□用途:博物館
□竣工年:1991年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト

>>参考HP

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軽やかな屋根とメタリックな素材の扱い。

伊東さんの90年代初期の作品。

最初、写真で想像していたよりも街中にあったので、場所が間違ってないか心配した。

今回の旅行の目玉であったが、閉館間際に滑り込んだためあまりゆっくり見ることが出来なかった。
期待し、想像していただけに、特別な感動はなかったのだが、それはまぁ仕方のないことであろう。

やはり、良いものはよいなぁという感じ。

特別な建築の構成でびっくりさせらることもなかったが、さりげない建築のあり方、心地よい空間は、伊東さんならではである。

最近の恐ろしく自由になった伊東さんの建物も見てみたいなぁ。




W007 『不知火文化プラザ』

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□所在地:熊本県宇宇城市不知火町高良東割2352
□設計:北川原温+伊藤建築事務所
□用途:美術館+図書館
□竣工年:1999年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
>>参考HP

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正面のルーバースクリーンは不知火現象をモチーフにしているようだが、ゆらゆらとした感覚は得られず、はっきりとした物質感を感じてしまった。

僕の印象では写真の方が美しく映る建物である。

町のオープンな美術館・図書館としては成功している印象は受けた。

訪れたのが15時ごろだったので、もう少し薄暗くなってライトアップされれば、また印象が違ったかもしれないが。


△外部通路部分


△内部ホールのトップライト




W006 『杖立橋+Pホール』

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□所在地:熊本県阿蘇郡小国町
□設計:新井清一+シダ橋梁設計センター
□用途:遊歩橋+多目的ホール
□竣工年:1988年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト
>>参考HP

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杖立の温泉街にある橋とホールの一体となった建築物である。

温泉街を歩いてみて、この町自体にとても興味をもった。

ヴェネチアとはまた違った感じだが、川と立体的な路地が楽しくてつい隅々まで歩いてみたくなる。

ヴェネチアより東洋的な雰囲気でパワーがみなぎっていている。
こなきじじーがその辺を歩いていてもおかしくないような感じ。

さて、この橋はオブジェ的な扱いでデザインされているが、これが特段浮くわけでもなく町の風景としてなじんでいる。
それは、この町のパワーがあってこそであろう。

決して、どこにあっても「あり」のデザインだとは思えないが、ここでは成功しているのではないだろうか。

温泉街としてももう一度訪れたい場所である。

もっと、はちゃめちゃな町にになることを期待します。


△町のパワーを感じる


△橋より川下方向を見る
町の立体的な空間が興味をそそる




W003 『馬見原橋』

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□所在地:熊本県阿蘇郡蘇陽町
□設計:青木淳+中央技術コンサルタンツ
□用途:橋梁
□竣工年:1995年
□備考:くまもとアートポリスプロジェクト

>>参考HP

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フィーレンデール構造の橋梁で上部を車歩道、下部を歩道に利用している。

下部の通路に開いている穴の周囲に小さな魚がころがっていた。
誰かがここで釣りをしていたのだろう。
ここが、生活者に利用されている証拠である。

僕は水際で例えば座って休んだり、寝転んで水の音を聞きながら空を眺めたり、ただボーっと川を眺めたりといったことが、ごく普通にできればどんなにいいだろうと思っている。

しかし、僕の周りでは水際を歩いていて、そういう行動が不自然でない場所というのは生活の中でなかなか見つけることが出来ない。

もし、こんな橋が仕事場の近くにあったなら、夕方、頭をクールダウンするためにしょっちゅう訪れて、奥の方で寝っ転がっているかもしれない。

道路を掘り返して無駄な工事に税金を掛けるのなら、例えば水際にこういった橋とちょっとしたベンチ、それにそれを生活になじませる様々な仕掛けを考えることにお金を掛けてもらいたいところである。