何に対して報酬を頂くのか(設計監理料の話)
何に対して報酬を頂くのか
お施主さんに頂く報酬を、慣習に倣って設計監理料と読んでいますが、実際は何に対して報酬を頂いているのでしょうか。
設計図を描くのはもちろんのこと、土地や建築物に関わる規制や現況の調査、検査機関との折衝や確認申請などの各種申請、施工者との打ち合わせや指示書の作成など、関わる業務は多岐にわたります。
独立する前はこれらの業務に対して報酬を頂いていると考えていたのですが、いざ独立して仕事を始めてみると、業務の種類が多すぎて、またDIYなどの設計外のことを考える時に、その考え方ではお施主さんに対しても自分に対してもうまく説明ができないと感じるようになりました。
目的はお客様の期待に応えて満足してもらうこと
当たり前ですが、お施主さんは何らかの期待を抱いて設計事務所の門をたたくのだと思います。お施主さんにとって建築士のさまざまな業務は2次的なもので、別に図面を書いてほしくて、又は、書類を代理で申請してほしくて設計事務所を訪れるわけではないと思うのです。
そんなことを考えているある時、設計監理料という名の報酬は、「お客様の期待に応えて満足してもらうこと」に対する報酬だ、と自分の中で定義してしまおう、と思い立ちました。そうすることでだいぶ気持ちがスッキリしたのを覚えています。
なので、模型を作ったり、CGを作成したり、近隣や監督さん・職人さんと良好な関係を作ろうと努めたり、日々の勉強や積み重ねも含めて、目的に必要なことであれば何でもやるべきだと考えるようになりました。
時には、余った材料やホームセンターで購入した材料で、簡単な棚やハシゴなどをつくったりもしますし、ペンキまみれになってDIYの補助をしたりすることもあります。それらは通常の設計監理の範疇ではないと思いますが、それが目的に必要なことであればやろうと思っています。
実際、〇〇万円の減額案を考えるために数日間、頭を悩ませるより、一日お施主さんと体を動かしたほうが目的に適した結果が得られることも多いのです。