二-二十二 地形―関係性とプロセス

「地形」のような建築

ここで、「地形」のような建築ということを考えてみたい。

例えば無人島に漂着し、洞窟を見つける。 そして、その中を散策し、その中で寝たり食べたりさまざまな行為をする場所を自分で見つけ少しずつその場所を心地よく変えていく。 そこには、環境との対等な関係があり、住まうということに対する意志があり、出会いと行為、意味と価値に溢れている。

「地形」の二つの特質

「地形」が、そういった意味と価値に溢れたものであるとすると、そこには二つの特質があるように思う。

一つは先に書いたように、人と建築それぞれが自立し、並列の関係性を保てているということ。

もう一つは、プロセスが重層的に織り込まれている、ということ。

地形は地球レベルのとてつもない時間の中で隆起や侵食などを繰り返してできた自然条件による現時点での結果であり、その結果にはそれまでのプロセスが織り込まれている。もし、それが平らに造成されてしまったとしたら、すくなくともあるスケールに於いては織り込まれたプロセスがリセットされてしまい、出会いの可能性は限られたものになってしまうように思う。そう考えると重層的なプロセスの存在が「地形」の出会いをより豊かにしていると言えそうだ。

必ずしも地形のような形態である必要はないが、このような二つの特質をもった建築が「地形」のような建築だとすると、そのような建築も、とても貴重なものだといえるだろう。

人は建築で、地形と出会う。

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