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 二-一八 まとまり―他人と力

まとまりと認識

まとまりとはなんだろうか。

まとまりは認識に似ている。まとまりの感覚、認識はそれを他人と共有可能なものにし、自己と周囲との接触を維持する能力である。
 
まとまりによって、いくつもの要素と同時に、かつ持続的に出会うことが出来るようになるし、「あれ」とか「あの感じ」のように他人と共有できる可能性が開かれる。まとまりとの出会いは他人との出会いのはじまりでもある。

不足と関係性に向かう力

また、まとまりは、他のまとまりや、その上位のまとまり、ひいては全体との関係性の中ではじめて成り立つもので、それら他のまとまりや全体を捉えようとする動機と一体のものである。

実際には、全体を捉え尽くすことはできない。であるから、まとまりには、絶えず不足があり、それを補い新たに出会おうとする力、関係性へと向かう力を内に秘めている。逆に言うと、そのような関係性に向かう力の感じられないないところは、まとまりに欠け、他人との共有可能性に乏しい、という孤独な場所なのかもしれない。

まとまりとの出会いの豊富な建築は、いろいろな力を内に秘め、他者とつながる可能性を豊かに含んだ貴重なものだといえるかもしれない。

人は建築で、まとまりと出会う。それは他人との出会いであり、関係性へと向かう力との出会いでもある。