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B018 『河辺家のホスピス絵日記―愛する命を送るとき 』

河辺家のホスピス絵日記―愛する命を送るとき 河辺 貴子、山崎 章郎 他 (2000/01)
東京書籍


ホスピスのラフな計画をする機会があった。(本当にラフな)
じっくりと勉強する時間がなかったのだが、こういう施設の線を引くのに、少しは勉強しなければあまりにも心苦しい。
かといって、『建築設計資料』などの資料集は要点的で『計画』的な視点が強すぎるので、そこにいる人間を見失いかねない。
最初からこの手の本に頼るのは危険である。
そこで、図書館へ行って利用者の視点から書かれたものを探して借りたうちの一冊がこの本。

妻である著者が夫を看取った記録である。
実は僕はついこの間(8/21)入籍したのだが、この本を読んでいると著者の夫婦と自分たちを重ね合わせてしまい、涙なくしては読めなかった。
(僕たちが病を抱えているわけではないのだが、僕の妻と著者のキャラがなんとなくかぶって見えた)

著者の夫婦の愛情や絆の深さ、そして、どんなときにもユーモアを忘れない強さ、というよりは優しさに強く感動してしまった。

きっとユーモアは本当の優しさがないと出せない。

きっと本当の優しさは悲しみを知らないと分からない。

本当に悲しく、優しくなる場だからこそユーモアが
生きるのかもしれない。

僕の妻もいざとなったら頼りになる。
彼女の優しさとユーモアに惚れたのだ。
時々ちょっとこわいけど。

今日、『建築設計資料』を買ってきてみていると、この本の舞台となったホスピスが載っていて、図面や写真を見ながら「ここであの人が・・・」と想像して泣きそうになってしまった。
僕はわりかし単純である。

ともあれ、一人の人間の尊厳に関わる重要な場所である。
僕はあんまり人工的な死に方はしたくないと思っているが、まだそんなにじっくり考えたことはない。
実際に計画するようなことになれば、できるだけ正面から向き合って考えたい。