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敷地

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ふさぎこんだ敷地

現代の多くの住宅を見てみると、どんな敷地であっても規格化された家を無造作に置き、その家と周りの環境とは切り離されているように思います。敷地の残りの部分を庭にしていても、それが内部の生活とつながっていないため、庭とは名ばかりの存在になっています。場所によっては木の一本もなく敷地の隙間は見捨てられています。

敷地から飛び出す

法律によって敷地に建てられる建物の割合が決まっているので、敷地全てを家にすることはできませんが、建物の配置、窓のとり方、壁の配置、植栽などによって、敷地いっぱいを有効に活用することができます。石をひとつ置くだけでぐっと広がりを感じさせることもできます。

また、想像力を駆使すれば、敷地の枠を外れイメージはぐっと広がります。家そのものの床面積を重要視する傾向がありますが、家を小さくすることで逆に何倍もの広がりを感じるようになることも多々あります。

僕は、敷地に座り込んでじっと動かない、ふさぎこんでいるような住宅を見るとすごくもったいなく思います。

せっかくの敷地ですから、有効に活用し、さらに敷地の枠も外せるような建築を建てたいです。

日本建築から学ぶ

すごく、大雑把に言うと、欧米などでは厳しい自然環境や外敵から身を守るため、壁によって内部を基本的に外部と切り離す建築が発達しました。

一方、日本では比較的気候が温暖ということもあり、”借景”など、巧みに周りの自然環境などを取り込み、周囲と一体化した建物が建てられました。

そして、木の柱と梁の構造、開け放せる建具、縁側や軒の深い庇等が発達したといわれます。

昔の日本建築には領域をあいまいにする作法で学ぶべきものはたくさんあるように思います。