B038 『建築を拓く -建築・都市・環境を学ぶ次世代オリエンテーリング』

日本建築学会
鹿島出版会(2004/10)

建築的思考を武器に新しい道を拓いている先駆者25人のインタビューが収録されている。
あまりなじみの無い人もいたのでメモの意味でもざっとあげてみると、

内藤廣大島俊明松村秀一野城智也原利明梅林克大島芳彦松島弘幸アパートメントゼロスタジオ坂村健深澤直人甲斐徹郎玉田俊夫吉岡徳仁西村佳哲福田知弘後藤太一中西泰人love the life勝山里美馬場正尊松井龍哉元永二朗新良太

建築を学ぶ学生を主な読者に想定しているが、”建築をどう拓いていくか”は現に建築に携わる人にも切実な問題である。

この本の中で学生へのメッセージの中で共通しているように感じたのは、
・社会に対して自分がどう関われるかを考える。
・自分の中で感じたものを大切にしそれを突き詰める。

と言うようなことの大切さである。

この本でもいくつものキーワードや方向が見えてくるが、それら全てを突き詰めることは不可能であるし、しょせんは借り物である。
自分でこれと感じたことを突き詰めた先に何かが拓ける。
実際ここに収録されている人もそうやって必要とされるポジションを築いてきたのだ。

僕の本当の興味や出来ることはどこにあるのか。そのための方法は・・・・・

建築という領域を新築することに限定する必要はない、もっと自由に捉えてよいと考えると少し幅が出る。
すぐには答えが出せないのだが、それらを突き抜けるためのきっかけのようなもの、隠し玉はある。(それは秘密。。それを使うかどうかは今後じっくり考えることにする。)

一度、明確なビジョン・ストリーを描いてみたい。

******メモ**********

■本当はみんながほしいと思っているものを掘り起こす能力、あるいはそれをかぎ分けて目に見える形にすることで、イメージを喚起する能力。・・・・製図台の上の真白い紙の上で描けるのが近代建築であるとするならば、出かけていって、見て考えて、そこにいる人と意見を交換しないと、問題すら発見できないと言うような環境体験型の方法論に移りつつあるのだろうと思います。(古谷誠章)
■デザイナーが手を加えることで価値を倍加させていくような手法(大野秀敏)
■「建築家」がどうするか。1.増改築、改修、維持管理を主体とする。2.活躍の場を日本以外に求める。3.建築の分野を拡大する。・・・・第三の道でまず目を向けるべきが「まちづくり」→タウンアーキテクト(布野修司)
■・時間の概念>クロノプランニング・直感が大切。工学と直感は無縁ではない。・「私」を超えること。(内藤)
■リニューアルとは建物をどうやって次の世代に引き継いでいくか(大島)
■・これからの展望が開ける部分というのは結局は生活者しかない。・みんな能力もあるし、繊細さもある。でも、「何かを切り拓いていくぞ」っていう感じは乏しい。(松村)
■人々のアクティビティを呼び込むことによって、広い意味でも経済的価値を生むことが重要。(野城)
■・社会レベルへレンジを広げてみると、まだまだ住宅には取り組むべき問題は山積している。・自分たちが持っている「強み」「リソース」をどのようにデザイン活動に結び付けてゆけるか。(梅林)
■・オーナーの資産を設計デザインという付加価値の観点からマネジメントしますというスタンス。・ただ綺麗にするのではなくて、違う価値基準に乗せ換えてしまいましょう。
■・自分たちの価値観を大切にすること。そしてその価値観やビジョンといったものをしっかりと周りに伝えていくこと。・イメージを育てるのがすごく大変だけれども、それをイメージで終わらせない。(滝口)
■・身体が記憶している、みんなが共鳴する何かがあるはず。・人間のセンサーに対して深い部分で何か感じるようなものを突き詰めてつくってみる、ということが大切。学問として学ぶのではなくて、身体として経験する。(深澤)
■・使い手の意向を読み取って関係性をつくることが本来のデザイン。繋がりとか連続性。・自分にとって価値のあること、心地よいと感じること、そういう感性が現れるのを待つことを大切にしてほしい。(甲斐)
■夢を見、イマジネーションの力を磨くこと(玉田)
■自分なりの生き方で生きていかないとデザイナーとしては成長できない。(吉岡)
■・みんな他人事の仕事はしていない。どんな請負の仕事でも「自分の仕事」にしてしまう。・感動しているとか、心が動いているとか、面白がっているとか、興味のあることがたくさんあるのは、動く大きなプールというか内側の資源(西村)
■デザインを進めていく方法論というか、コンセプトを見つけていくこと自体が大切なことになっていく。(松井)

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