何が人生を変えてくれるか分からない B231『アニメ私塾流 最高の絵と人生の描き方』B232『アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術 』(室井 康雄)

室井 康雄(アニメ私塾) (著)
エクスナレッジ (2019/12/19)

室井 康雄(アニメ私塾) (著)
エクスナレッジ (2017/11/16)

少し前にtwitterで話題になった本。

息子二人のために購入

「キャラ作画」の方は結構前に絵を描くことが好きな次男(小5)のために購入。
春のコロナ休校の時、裏紙を閉じた冊子を渡して「何でもいいので自分で考えてすべてのページを埋めるように」と宿題を出したのですが、次男はこの本の序盤を自分なりにまとめてました。

「最高の絵と人生」の方は、最近絵(イラスト)を描くことにハマりだして将来のことをいろいろ考え出してそうな長男(中2)のために。
せっかくやるなら、何かしらの経験になればと思い買ってみました。

盆の間にざっと目を通してみましたが、押し付けがましくなく、楽しむことを忘れずに書き続けながら、上達するためには何が必要か、自分で考えることを促すような良い本でした。

原くんのこと

僕は、大学の4年の頃、建築をこのまま続けるかどうか悩んだ時期があって、気がついたら、就職も進学もほぼ募集が終わってました。とりあえず、東京にでも出てみようと、たまたま雑誌で見かけた一年制の建築専門学校に行ったのですが、そこで(確か)高知から来た原くんという子と仲良くなり、住んでいた場所が近いこともあって、よく一緒に過ごしてました。

原くんは、絵を描くことが好きで、昔からジブリなんかの画集を見ながらいろいろ描いてたようです。授業のプレゼンでもジブリ風の人や車などの添景をスラスラと描いていて、画力ではピカイチの存在でした。

また、その専門学校の先生はアトリエ系の設計事務所の主宰者が多かったのですが、その中でも、三輪先生のコンペ論の授業が人気があったように思います。
三輪先生はその頃、黒川紀章の事務所から独立して確か2年目くらいで、建築を楽しむことの根っこの部分を問いかけてくる、他の実務寄りの先生とは少し違う独特の雰囲気の先生でした。

そんな専門学校が卒業の時期を迎える頃、三輪先生のもとで働きたいという生徒はたくさんいたのですが、結局僕と原くんの二人が三輪先生の事務所で働くことになりました。
僕らよりも、建築的な発想に優れた人や、独特の個性を持っている人がいたのですが、先生は「何でもいいので一つ、自分より優れた光る部分を持っている人を雇おう」と考えていたようで、原くんはその画力、僕は模型の製作能力を見込まれたそうです。
(僕は、模型は全くの我流で自分ができる方なのかどうかも分からなかったのですが、課題で、全ての建具を閉じた状態からフルオープンにして格納できるような模型を、それこそ楽しんで作っていたので、そこを見込まれたのかな、と思ってます。)

その後、その事務所で怒られたり褒められたりいろいろな経験(ダメ出しがほとんどでしたが)をして、いろいろなことを学ばせていただきましたが、原くんは体調を崩して、僕よりも先に(確か)高知の方に帰ってしまい、それ以来会っていないです。

何が人生を変えてくれるか分からない

学ぶことは学びたくなった時に自分で学べればそれでいい、と思っているので、高校までの勉強は、何かを学ぶための練習くらいでいいのかなと思っています。

僕の場合は、やりたいこともはっきりしてなかったので、自分の可能性を残しておけるようにとりあえず「大学受験合格」をミッションに設定しました。(建築を選んだのは、受験間際になってからで、とりあえずものをつくるのが好きだから、という程度の動機でした。)。それでも、そのミッションをクリアするためにやれることは全力でやったと思います。

進学先によって人生は変わっていたと思いますが、その後、社会に出る段になって人生を変えてくれたり、支えとなったのは、子どもの頃に夢中になってやった自分の好きなことだったと思います。

小学生の頃は工作や折り紙(あと、昆虫も)が好きだったのですが、その時夢中になったことが、最初の事務所に勤めることのきっかけになりました。原くんもそうだったと思います。

中学校の時は買ってもらったパソコン(MSX,MSX2)で家にいる間はひたすらプログラムでゲームをつくったり、ゲームをつくるためのツールをつくったりしてました。それが、最近、設計ツールをBIM寄りに切り替えてからかなり生きてきてると思います。もし中学時代に、ちょっとかじって満足してたのでは対して意味はなかったかもしれません。(ちなみに、受験する学科で最後まで迷ったのは建築と情報でした。大学卒業後もかなりの期間、極貧生活を送ることになりましたが、情報を選んでたら、もっと早く人並みの生活が送れてたのでは、と思ったことは何度かあります。)

何が人生を変えてくれるか分からない。本当にそう思います。

今何をすべきか

例えば、長男がこれから進路について悩む時期だと思いますし、それについて具体的に行動しなければいけない時期になってきてるのかなと思います。

ですが、今、何をしなければいけないか、なんてことは僕には分からないし、きっと本人にも分からないと思います。

大学に行ける学力をつけておけば、その時点での選択肢は拡がると思いますし、人生の支えとなる交友関係も変わってくる可能性はあるとは思います。
だけど、今の時代、そのことがその後の人生までも保証してくれることはほとんどないと思いますし、結局、その時々に何をするかで人生の舵をとるしかありません。

なので、今の時間を全て受験に捧げろとは僕は言えません。それによって経験できなかった何かによってチャンスを失うことだってあるかもしれませんし、他を我慢して受験に身を捧げたことで人生が拓けるかもしれません。

そんなことは誰にも分からないです。
だから、先日、長男には、最後の説教(こんな風に考えたらどうか)を伝えて、後は勝手にどうぞ、と言いました。最後は自分の人生に本人が責任を持つしかありません

ただ、今の時間を何の目的意識も持たずに過ごすことは、単純にもったいないとは思います。
何をすべきか、正解は分からずとも、これをすると自分で決めて、それに向けて行動することはできます。行動することで何かを得ることができると思いますが、自分の意志で行動しない限りはほとんど何も学べません

この本でも、何度も、悩んでいる暇はもったいないので、目的を持って具体的に行動することを勧めます。プロになるべきとも言いませんし、なれるとも言いませんが、プロになるまでにはこういうハードルを超えていく必要があるのでなりたいのであれば具体的にこうすべき、と冷静に勧めます。

長く描く時間をつくりたいので、とりあえず大学(もしくは高校)までは行けるように必要な勉強をする、と決めてもいいですし、覚悟があるならこの道のプロになると決めても構わないと思います。とにかく、決めてそれに向けて行動をしてみて、修正が必要であれば、決めたことに修正を加えればいいと思います。
ただ、何も決めないまま、漠然と時間を過ごすのはもったいないように思います。

大人だって(きっとこの本の著者だって)何が正解かなんて分からないけれども、行動のために何かを決めるところから始めてるのだと思いますし、そのちょっとした最初の勇気を持てるかどうかが大きな違いを生むのだと思います。

再び、今何をすべきか

とりあえずでいいので何か目標なり何なりを決めてしまって、再び今何をすべきかを考えると、逆算的に自ずとやるべきことが決まってくると思います。
逆算のための情報(例えばこの本や、ブログや動画など)はいろいろなところにありますし、先輩や親に相談してもいいと思います。
今何をすべきか、は何かを決めた後でしか見えてこないのかもしれません。

この本では、具体的こう言うことをしてこういう力を身につけよう、というのが書いてあってとても参考になったのですが、翻って自分のことを考えてみると、完璧にできているとはとても言えません。
建築の造形力を身につけるためにすべきことはまだまだたくさんあったと思いますし、あの時、原くんがスラスラ絵を描くのに憧れて、練習しようと思いつつも、こういう本を買うのに20年も掛かってしましました。
今もやりたいこと、やらなければいけないことだらけです・・・。

この本、もっと楽しさを大切にしてもいい、という本だと思うのですが、結局長男への小言みたいな文章になってしまいました。

それよりもう一度原くんに会ってみたいなー。今頃どうしてるんだろう。

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