二-九 ふるまい―いきいきとしたモノたち

モノのふるまい

ここでいうふるまいとは、出会いとそれに伴う行為の現れのことである。これまで、主にそこにいる人が何とどう出会うのか、ということを考えてきたけれども、ここでのふるまいは人のふるまいに限らない。
例えば、窓やテーブル、階段、手摺などの建築の部位やモノ、都市における建築物や、光や風、雨といった自然など、さまざまなもののふるまいが考えられる。もちろん、例えば雨が何かしらの判断・選択をするわけではないので擬人的な表現に違いないのだけれども、雨が、あたかも何かと出会い、行為をしているように見える場面はあるように思うし、その時、その雨のふるまいを通じて、間接的に雨が出会ったであろうものと出会うことができる。
そういういろいろな出会いを含んだふるまいを見せるモノは、いきいきとしているようにみえるだろうし、そこには、いきいきとしたモノたちとの出会いの悦びがある。

また、多くの時間を経て獲得されたふるまいというものもあるだろう。擬人的に例えて、新しく出来た建物のふるまいが青年のそれだとすると、その地域の昔ながらの建物のふるまいは、いろいろな経験を通じていい塩梅にバランスした、味わい深い長老のふるまいのようなものかもしれない。

建築には多くの要素が含まれている。もし、それらの要素のそれぞれがが、お互いに影響し合いながら生き生きとしているとすると、その建築は多様な出会いに溢れ、悦びに満ちたものである、と言えるかもしれない。

人は建築で、いきいきとしたモノたちのふるまいと出会う。

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