システムから選択肢を考える B289『地球のなおし方』(デニス・メドウズ ,ドネラ・H.メドウズ ,枝廣 淳子)

デニス・メドウズ (著), ドネラ・H.メドウズ (著), 枝廣 淳子 (著)
ダイヤモンド社 (2005/7/15)

少し前にテンダーさんにお借りした本です。

地球環境に対してどのような選択をするべきか、システム思考をベースに易しく語りかけてくるような本。

システム思考

システム思考とは何か。
それをこの本を読んだだけで理解できたと言えないけれども、目の前の認識可能な事象だけではなく、全体をシステムと捉えた上でシステムの挙動を考えながら判断するべきで、その挙動に効率的に働きかけられるような行動をとるべき、という感じだろうか。

上の図で言えば、多くの人は出来事やそこに見える行動パターンをもとに判断をすることが多いが、その裏に潜む構造・システムやさらにその裏にある無意識や前提のようなものこそが変革には重要となる。

本書にある、その変革に向けたアプローチのツールは「ビジョンを描くこと」「ネットワークをつくること」「真実を語ること」「学ぶこと」「慈しむこと」の5つで一見地味な言葉ばかりだが、一番奥にあるものを変えない限りは変革は起こり得ないことを考えると、これらのことが一番力を持つのかもしれない。

前回見た市民革命などを考えても、ビジョンさえ浸透すれば希望はある、と思わせてくれる本だった。

どのような選択をするべきか

『資本主義の次に来る世界』などでもたくさん紹介されていたけれども、本書でもコンピューター・モデルを用いたシミュレーションによるシナリオが紹介されている。
本書が20年前のものであるという点も含めて参考になったので、比較しやすいようにシナリオごとに並べた上でいくつかをピックアップしてみた。
また、2005年(出版当時)、2023年(現在)、2050年(例えば2010年に生まれた子どもが40歳の年)、2080年(その子ども(孫)が40歳の年)を参考に追記している。

例えば、汚染除去や農業関連の技術が導入されるが、省資源化や人口抑制、工業生産抑制を行わなかった場合のシナリオ5では、孫が大人になる頃には環境は崩壊をはじめてしまう。
これは、1950年頃の状況に強制的に戻らざるを得ない、というだけでは済まないだろう。資源は底をつきはじめているし、それまでの経済成長を前提とした社会が急激に変化する中で、失業や食糧不足、社会不安やそれに伴う紛争など想像もできないような不安定な社会が待ち受けているかもしれない。
自分の子どもや孫がそれに直面するかもしれない、というイメージはまだ多くの人には共有されていないかもしれないが、その可能性をまず受け入れる必要がある。

このシミュレーションは、シナリオ5を回避し、シナリオ9の持続可能な社会とするためには、省資源化に加え、人口抑制と工業生産抑制の必要があることを示しているが、それは成長主義的な資本主義のシステムを変革することが必須であるということだ。

そういう選択を我々はすることができるだろうか。

このシミュレーションが20年前のものであり、シナリオの前提となる技術の進歩が不確定であり、さらに南北格差の問題や社会的変革の難しさを考えると、乗り越えるべきものは多いし、消費財やサービスが本当にこれほど必要か、という議論もあるだろう。
現在でも多くの人は「経済成長より持続可能な社会を望む」という風に考えている、というような調査結果もあるようだけれども、それを実行に移すには社会・システムに対する新しい知恵を身につけることは必須である。
とするならば、システム思考はそのヒントになるだろうか。

環境の変化を想定しておく

建築の立場として、一人の人間の立場としてできることは何があるだろうか。

一つは、望ましいシナリオへと舵を切るべく、できることを考え実行するしかない。

しかし、程度の差は別にして最善のシナリオを進まなかった、という可能性も考えておかざるを得ないだろう。
(それほど遠くない)将来、今当たり前に考えている生活が急激に崩れていくことはこれらのシナリオからも十分に想定されるが、その時になって対応しようとしてもかなり厳しいように思う。
今のうちから、環境の変化に対応可能な生活へと少しづつスタイルを変化させていく、ということも必要ではないだろうか。(その事自体がシステムの改善にもつながるだろう。また、著者の枝廣氏はその後、レジリエンスや地域経済に関する本を書いているようだけども、それが著者の一つの答えなのかは興味がある。)

建築は何十年も残るものであることを考えると、将来的な変化への想像力を持って仕事に取り組むことは職業倫理として必要に思うし、建築という仕事そのものが経済状況に大きく影響されるものであるため、ビジネスのあり方も考えないといけないかもしれない。(二拠点居住や来年からやってみようと思っている稲作(自己消費用)はそのための想像力を少しでも引き寄せるための経験だと思っている。)

課題

学ぶべき課題は何か。
今回頭に浮かんだのは、
・システム思考とは何かをもう少し詳しく。
・資本主義経済の本質は何か。成長せねばならないという前提がどこから来ているか。
・レジリエンスを高めるにはどうすればいいか。(個人経済や地域経済のスケールで考える?)
・建築そのものとビジネスをどう変化させる必要があるか。
などである。
うーん、田舎生活も分からないことばかりだし、やることが増えていくばっかりだ・・・

image_print

関連記事







コメント:0

コメント フォーム
情報を記憶

関連性の高い記事