B197-198 『発達がわかれば子どもが見える―0歳から就学までの目からウロコの保育実践』『0歳~6歳子どもの発達と保育の本 』

乳幼児保育研究会 (著)
ぎょうせい (2009/3/7)

河原紀子 (監修)
学研プラス (2011/3/15)

保育期間の子どもは目まぐるしく成長していき、その発達段階に合わせて、必要な支援や環境に要求されるものが変わってきます。
保育園、幼稚園、認定こども園などの保育環境を設計する際にはそれに対する配慮と想像力が必要だと思い、読みやすいものをまずはざっくり読んでみることに。

上の本は、発達段階の区分が細かくテキスト量が多かったり、観察ポイントの開設やコラムが充実していたりするので、発達の理解や疑問の解消に向いていそうです。
下の本は、イラストが多くて読みやすかったり、発達表がついているので、ざっと理解したり、設計の際近くに置いてイメージを膨らませるのに向いていそうです。

また、実際に自分の子どもの発達と照らし合わせながら遊ぶヒントにもなりそうです。

発達保障理論と新たなアフォーダンス形式の獲得

ところで、「発達」という言葉に初めて意識的に出会ったのがいつかと言うと、バリアフリーと福祉施設について調べていた時に見つけた「発達保障理論」という言葉が最初だったように思います。
オノケン【太田則宏建築事務所】 » B028 『平成15年度バリアフリー研修会講演録』

その中で出てきた「発達保障理論」という言葉がとても心に残っていたので、引っ張り出して再び読んでみた。講師は福祉施設の館長であるが、考え方がとても自由でユーモアもあり好感がもてた

発達保障理論とは、何かを失いながらも何か意味のあるもの、価値のあるものを再獲得していく過程というふうに捉えることが出来る。つまり、私達の理論は最後まで、成長し発達し続けるんだいう理論、希望なんですね。

引用元のページで、いくつか引用として抜き出しているのですが、発想が建築的で面白いのです。(この方の書いた本がないか、と思い探していますが見つかっていません。)

この発達保障理論は、言い換えると、何かを与えられるだけでなく、いつでも主体的に何かと出会い、関係を切り結べる(それによって発達できる)ことを保障しよう、ということなんじゃないかと思います。
これは、障害者福祉施設の現場の視点によるものだったと思いますが、同様のことを保育の現場でも「子どもが自ら出会い、育つことを保障しよう」というように言えるのではないでしょうか。

また、アフォーダンスの視点はリードによって発達という視点にまで拡張されています。
オノケン【太田則宏建築事務所】 » B187 『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』

この本の価値は、ギブソンの理論を人間を取り巻く特殊な環境まで拡張するアイデアを提出したことにあると思う。

人間の際立った特徴は社会性を持つことによって、集団的に生きるための意味と価値を求めることが可能となった(文化と技術)ことと、さらに環境を改変することによって、それらを場所や道具、言語や観念、習慣等によって定着・保存しつつ環境に合わせて調整し続けられるようになったことにあるだろう。また、それらの意味や価値を適切なフレーム(相互行為フレーム:アフォーダンスを限定する「窓」)や場(促進行為場:子供が利用できるようにアフォーダンスを適切に調整した場。保育園や学校、家庭など)を設けることで引き継いでいくようなシステムも生み出されている。(これらは人間に限ってはいないが際立っている。)
人間の発達過程をもとにその流れを思考の獲得にいたるまで切り結びの一つ、相互行為を中心にまとめてみたい。

ここでは、アフォーダンスが発見される相互行為が、
・[自分]→[相手] [自分]←[相手]・・・静的・対面的フレームの中での二項的な相互行為
 ↓
・[自分]→→[モノ]←[相手] [自分]→[モノ]←←[相手] ・・・動的な社会的フレームの中での三項的な相互行為
 ↓
・[自分]→→[認識]←[相手] [自分]→[認識]←←[相手] ・・・<認識>の共有
 ↓
・[自分]→→[言語]←[相手] [自分]→[言語]←←[相手] ・・・<言語>
 ↓
・[自分]→→[言語]←[自分] [自分]→[言語]←←[自分] ・・・<思考>
と発達していく過程が描かれています。

これも、どんどんと出会いの窓が拡張されていく過程として保育の現場に重ね合わせることが出来るでしょうし、保育園を「促進行為場:子供が利用できるようにアフォーダンスを適切に調整した場」として捉えているところも面白いですね。

さらに、次の本の目次を一部抜き出すと、
オノケン【太田則宏建築事務所】 » B184 『知の生態学的転回1 身体: 環境とのエンカウンター』

第I部 発達と身体システム
第1章 発達――身体と環境の動的交差として 丸山 慎(駒沢女子大学)
第2章 運動発達と生態幾何学 山コア寛恵(立教大学)
第3章 ゴットリーブ――発達システム論 青山 慶(東京大学)

と、あるように、生態学的(アフォーダンス的)視点で発達を捉えています。もしかしたら生態幾何学的な視点で発達段階に合わせた設計をする、ということも考えられるのかもしれません。
また、要因と結果を中心に捉えられがちな「発達」をアフォーダンスの視点は動的で能動的な行為そのものへと引き戻してくれます。子どもの発達は、今目の前の行為の中にあるのです。

今回は分かりやすい2冊を選んで読んだけれども、事程左様に発達はエキサイティングで面白いものなんじゃないかという気がするのです。

(よく知らないまま季刊「発達」を数冊買ってみたので、どんな感じかちょっと楽しみ。)




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