B114 『クチコミのチカラ』

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本が好き!より。

『マスメディアを使って大量の広告を投下する垂直型の』マーケティングから、ブログ記事の連鎖などのクチコミによるマーケティングへの変革を説く。

僕ら(例えば設計事務所)がマスメディアを使って大々的に広告を打つ企業などに対抗するには、限られた選択肢の中でうまく情報を伝える工夫をする意外にない。
方法は地域情報誌や専門誌、DMやブログを利用したりといろいろあるだろうが、決定的な力を持つのはやはりクチコミであるし、クチコミの連鎖をどうつくるかが生命線であるといっても良いかと思う。
そういうわけで飛びついたのが本書。

内容は良くまとまっていて、さまざまな例を基にクチコミマーケティングの勘所を説明していく。
その勘所は、一読してなるほど、その通りと思うものばかりだが、それらは逆に言うとマーケティングの素人でも、ネット上などでそういう事例に接している人であれば、じっくりと考えてまとめれば思い浮かぶものばかりで特別な驚きがないとも言える。

しかし、それはまさしくマーケティングの視点が企業から市民(消費者)へとシフトした結果なのかもしれない。(市民(消費者)がこれまでのマーケターの役割も果たすわけであるから、マーケティングそれ自体に一定の分かり安さが必要なのであろう。)

自分のこととして考えると、結局、一番は情報価値を高めることであり、正直・誠実であるということ。あとはエンタメ価値や世論の形成価値を付加していく。ということに行き着くのかなぁ。

『クチコミ・マーケティングの18の法則』なども載っているけれども、新しいマーケティングを単なるテクニックとして捉えないように注意する必要があるのではないだろうか。
その舞台がインターネットという変化の激しい場所であるし、クチコミを支えるインフルエンサーは情報感覚の鋭い人達に違いないから何度も同じテクニックは通用しないし飽きも早いと思われる。
おそらくマーケティング手法そのものが消費の対象となるだろうからかなりのクリエイティビティが必要だろう。
これは面白いけど大変だ。

さて本著。現時点でのクチコミ・マーケティングの概要に触れるには良著だと思います。本著で要点を掴んでそれをどういかすかはあなたの創造力しだい、と言ったところでしょうか。

気になるのはあのTUGBOATが手がけてる”DOCOMO2.0″のCM。
反発を買いそうなCMの出だしと言い、”DOCOMO2.0″ => “ドコモニイテンゼロ” => “ドコモに移転ゼロ”という自虐ネタと言い、ネタ度数がかなり高いのですが、それが偶然ではなく < ネット上のクチコミ・マーケティング> と < これでもかと言う王道のマスメディア利用> のコンビネーションによって最終的には最大の効果を出すというシナリオがあり、もしそれを実現させるとなればさすがと言うほかありません。
ほんとのところどうなんでしょう?

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