B155 『建築プレゼンの掟』

高橋 正明 (著)
彰国社 (2008/06)

「10の掟」とありますが、この10の掟を守るべしというノウハウが書いてあるのではなく、10人のそれぞれのプレゼンに対する姿勢からあなたのプレゼンに対する掟を見つけてくださいと言う内容。

なので相手とのコミュニケーションという基本的な部分は共通しているにせよ、その姿勢や手法は様々でそれぞれに考えさせられます。

中でも、ちょうど去年の神戸芸工大のオープンスタジオの内容がそうだったと思いますが、青木淳さんの模型の話が面白かったです。

模型には、2種類あります。まず「こうなってほしい」という模型。それはどちらかというと小さくて、夾雑物をはぎとって残った、本質に近いというか抽象的な模型です。(略)もうひとつは、「こうなってしまう」という模型です。(略)

スタディをしながら「こうなってしまう」模型と「こうなってほしい」模型とのギャップを埋めていく。スタディ用か説明用に模型が分かれているのは模型を使いこなしているとはいえない。

プレゼントは何かといったら、先ほど説明した「こうあってほしい」と「こうなってしまう」の、どちらから見ても大丈夫な模型をつくって、見せることです。
だいたい、判断を下すトップの人が見る時間は5秒くらいですね。それで結論がでるんですから、「いいか悪いか」だけです。このときに、「こういうことがやりたかった」「もう少しこういう感じなんだけど」と言葉で補っても、仕方ないわけです。そのモノで判断してもらうしかないんです。それがプレゼンですよね。いかに少ない材料で分かってもらえるか、ということです。
そこに至るには、さっき言ったように、自分のやりたいことを明確に表してみること、その努力しかないのではないかなと、自分に言い聞かせています。

ところで今僕が作っている模型はどうでしょうか。

何度もスタディを繰り返す時間がないというのもありますが、「こうなってほしい」というものに「こうなってしまう」だろうというものが多分に含まれた中間的な模型になってしまっているように思います。

「こうなってほしい」だけでは素人にはおそらくリアリティを感じてもらえないだろうし、厳密なスタディを経ない「こうなってしまう」は陳腐なものになってしまうだろうし。

ギャップをなくすことが理想ですが、限られた時間の中でうまいバランスをとりたいと思います。

それと、一つは「こうなってほしい」と「こうなってしまう」のギャップを埋めるスタディに時間をかけたものもつくりたいですね。30分の1ぐらいで。

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