B048 『絵本 パパラギ』

絵本 パパラギ―はじめて文明を見た南の島の酋長ツイアビが話したこと 和田 誠、ツイアビ 他 (2002/03)
立風書房


『はじめて文明を見た南の島の酋長ツイアビが話したこと』

図書館で小休止がわりに借りてきた。

初版が1920年(スイス)のロングセラーの絵本版。

パパラギとはサモアの言葉で「白人」「文明人」を指す。

ツイアビから診た”パパラギ”はとても不自然で貧しい。

ただ、ここで書かれているツイアビの言葉には、文明人の匂いも感じる。
文明人が何かを語りたいがためにツイアビに語らせているように感じる。
なんとなくフェァじゃない気もするが、それはいいや。

私たちはパパラギの世界に住んでいるが、ここにも楽しみや愛や笑顔はある。
ただ、いろんなものが見えにくくなっているだけだ。

自分とツイアビを比較するのは見えなくなっているものをくっきりと浮かび上がらせる。

だけれども、ツイアビとの比較で今の社会の貧しさを嘆くだけでは、何も変わりはしない。
遠い豊かさを羨望しているだけでいるよりは、身近なところから豊かさやよろこびを感じたり、生み出すことからはじめよう。

パパラギもたまには立ち止まって、ツイアビの話に耳を傾けたり、おおきく深呼吸したり、自分の足元を見たりしてみないといけない。

*****メモ*****

■自然の大きな力から離れてしまった、心が迷った人たちだけが、日もなく、光もなく、風もない、意志の割れ目(ビル)の中で満足しているのだ。
■物がないなら死んだほうがましだ……この人たちはそう考える。食事の皿のほかはなにも持っていなくても、私たちならだれでも、歌を歌って笑顔でいられるのに。
■百枚のむしろを持っていても、持たないものに一枚もやろうとしない。それどころか、持っていないことをその人のせいにしたりする。・・・・たくさん物を持ったら、仲間に分けてやらなくてはいけない。だれかひとりがたくさんの物を持つのは大自然の心ではない。
■パパラギの世界では、人間の重さをはかるのは気高さや勇気や心の輝きではなく、一日にどのくらいお金を作るか、どのくらいお金を箱にしまっているかなのだ。
■みんなの目は太陽のように輝いている。喜びに、力に、いのちに、そして健康にあふれて輝いている。みんなのような目は、パパラギの国では子供だけしか持っていない。
■機械が何でもすぐに作ってしまうので、パパラギはどんな物にも愛情を持たなくなった。それが機械の持つ大きな呪いだ。
■からだも、心も、全部がいっしょに働いて、はじめて人間は喜びを感じる。一部分だけ生きるのなら、他のところは死んで、人間はめちゃくちゃになってしまう。
■腹いっぱいに食べるために、頭の上に屋根を持つために、村の広場で祭りを楽しむために働くがいいと、自然の大きな力は私たちに教える。それ以上になぜ働かなければならないのか。
■私たちは一度も時間について不平を言ったことはなく、時の来るままに時を愛してきた。時間が苦しみや悩みになったことはない。
■「太陽はどうして美しく輝くのか」これはまちがいだ。馬鹿げている。日が照れば何も考えないほうがいいのだ。・・・頭で考えるのではなく、肌や手足に感じさせる。
■たいていの子供はたくさんの知識を頭の中に詰め込みすぎていて、どこにもすきまはなく、光もさしてこない。

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