TV『福祉ネットワーク “あそび”を生みだす学校』



NHK教育福祉ネットワーク2月21日(火) 20:00~20:29
シリーズ“こころ”を育てる第2回“あそび”を生みだす学校~建築家町山一郎さん~

ゲストに象設計集団の町山一郎を迎えて1982年に建てられた小学校を紹介する。

前に象の本を読んだときのように、ため息が出っ放しだった。
やっぱり豊かである。
これが建築なんだなぁとつくづく思う。

建物ができたときに、抽象的に美しい、かっこがいいというだけでなくて、むしろ、人がいきいきと使っている場所と言うのが一番価値が高い。(町山)

豊かさがそこにいる子供達の顔に現れている。

■小学校は日本全国均等に配置されていて、馴染みのある建物であり、地域のコミュニティの核となりうる。
■子育てにおいて、核家族という中で分断された形で子供が育てられている。日常的にも子供どうしが群れをなして遊ぶという機会がどんどん少なくなってきている。それは問題ではないか。
■親が専属で育てるのがいいという意見もあるが、子供をいろんな親が面倒をみて育て、子供が群れをなしてその中で育っていく。そういういろんなことがあわさって子供は育つ。
『子育ての共同化、地域化』が求められている。

それは宮台の言う『異質な他者とのコミュニケーションの試行錯誤を通じてタフな「自己信頼」を醸成するような空間』である。

宮代小学校では、全部で6つの門をつくり地域の人がどこからでも入ってこれるよう工夫していたが、いくつかの事件の後、文部科学省の指導があり、やむなく正門以外は閉じられてしまったそうだ。

安易に子供を隔離することによって守ること。それは子供達からコミュニケーションのチャンスを奪い、『隔離された温室で、免疫のない脆弱な存在』として育ててしまわないだろうか。

最終的に建物がまちに開かれていて、そこに地域の人が参画することによって、地域の目によって子供も守られ、子供がいることで地域の人の集まる拠点となる。
そういう相互関係によって安全も守られ地域の核となることが一番だが、ときどきバランスが崩れることもある。
しかし、そういうのを乗り越えてより良いものができればよい。

と町山は言うが、町山の懐の深さと言うか、もっと長いスパンでものを見る視点に感心した。

また、設計の際『まちのような学校学校のようなまち』というコンセプトを建てたそうだ。

宮台はまち(家・地域)の学校化を問題点として指摘するが、それとは逆に、ここには学校の中にまち(家・地域)が流れ込む構図が見てとれる。

20年以上も前から、そういう視点をもっているというのは素晴らしいが、逆に言うとそれを受け入れる余地がまちの側にもあったということだろう。
(この学校では子供達が裸足で駆け回るが、それは学校側からの提案だったそうだ)

翻って、先日鹿児島県の建物の仕上げの仕様の説明を受けたが、県は学校の仕上げ材の標準仕様というのをつくっていた。
プロポーザルなんかでも、その仕様どおりの材料を明記すれば評価が上がるそうだ。
コストや最低限の仕様については一定の効果があるだろうが、いまどき”標準化”を、それも教育の現場においてうたっているのは、ちょっと違うんじゃないかと思う。

そういう思想からは、笠原小学校のような学校は決して生まれはしないし、そこには町山のような長い時間を見据えた視点はない。

僕の個人的な意見だけれども、子供の教育以上に税金をかける必要のあるものなどあるだろうか。
他にコスト意識をもつべきことはいくらでもあるだろうに。

28日(火)13:20から再放送があるみたいなんで、興味のある方は是非。
[MEDIA]

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