B039 『「小さな家」の気づき』

塚本 由晴
王国社(2003/06)

観察・定着・素材(性)・ズームバック・ランドスケープ・社会性・建ち方・分割・アパートメント・オン/オフ・空間の勾配・バリエーション・読むこと・つくること

いくつものキーとなる言葉が出てくるが、どれも普通の言葉である。
しかし、それらの言葉には独特の意味が込められている。

と言うより、新たな言葉を発見しているといったほうがしっくりくる。

それは、さまざまな思考・行為に無意識のうちにしみついた規範やルールといったものを顕在化させ、解体し、再度組み立てる作業であり、マイナスの条件をプラスへと転化する試みである。
(条件の並列化といった方が良いかもしれないと思ったが、やはりプラスへの意志はある。この辺が微妙にみかんぐみとは違う気がする。)

いろいろなものに捉われずに正直であると言うのはなかなか難しいことだが、正直さへ到達するための道具としての言葉を非常にたくみに利用している。

また、環境と定着のプロセスをアフォーダンスのイメージと重ね合わせていたが、その橋渡しの役割を言葉がするのかもしれない。

その言葉は彼ら自身のもので共有できるものではない、と思っていたのだが、再び読み返してみると共感できる部分、ヒントとなる部分も多かった。

一度、言葉を”感じる”必要があるのだろう。

さて、この言葉の先に何があるのか。
単なる批評や言葉遊びでしかないのか。

それとも、捉われない自由さ、『正直さがつくりだす開放感』を手にすることができるのだろうか。
それは、どれだけ正直さに到達できるかにかかっている。

*****メモ******

■使い道のない隙間を作ってしまうと、そこがまるで体の中で血行の悪い場所のように感じられ、内部の空間や窓のレイアウトもその治療のためにあるようになってしまう。
■そもそも社会性というのは垂直軸ではなく水平軸で考えるものではないかと言うことである。建物をデザインすると言うことは、この様々あって入り組んだ社会性を批判的に解きほぐしたり、ぴったりのところを新たに切り出すと言うことである。
■そんな作業の中で、小屋は頭の片隅にあって、常に立ち返って今の仕事の位置を確かめるためのニュートラルな状態を用意してくれる。
■(山本理顕なんかに対して)住宅を批評する水準と言うのは、家族論以外にないのか、というのが僕らの中で関心として大きくなっていった。
■僕は建築を批評してくれるいちばんのパートナーは都市だと思っていて、住宅だって都市の問題だと言いたかった。
■結局、同じ場所にいても、肯定的でいられる人のほうが全然楽しいじゃないですか。それはこちらが世界に投げ込むフレーム次第と言うこと。
■実際には、社会や環境のほうに原因があるとする考え方を否定することはできないのだが、その目に見える形への顕在化は建物のほうにあると考えてみるのである。そうやって社会と建物の間に顕在化の仮定を想定するならば、社会、環境と建物の関係の図式は、因果律の線形からフィードバックのループ型に移行することができる。
■建築論のメタファーは、生物学や記号論から生態学やアフォーダンスへと変更されている。・・・「作ること」と対象の出会いによって「読むこと」のカテゴリーが更新され、「作ること」のオプションが拡大されていく。そんな動的な建築のデザインに、今は魅力を感じている。




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