B165 『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』

山崎 亮 (著)
学芸出版社 (2011/4/22)

マルヤガーデンズでコミュニティデザイナーを務められた山崎亮さん(studio-L)の待望の単著。
帯に「状況はまだまだ好転させられる」と書いてありますが、こんなに未来への可能性にわくわくさせてくれる本に出会ったのは久しぶりのような気がします。

10年以上前、僕も卒論でコミュニティの視点からみたコーポラティブハウスの可能性みたいなことをやりましたが、その時はコミュニティという言葉に可能性と行き詰まりを同時に感じてその感覚は長く残っていました。
その卒論では確か「ヒト・モノ・関係」からコミュニティを捉えながら、コーポラティブハウスという「モノ」をつくる過程で「ヒト」「関係」が生まれてくるという視点でしたが、あくまでそのベースには「モノ」ありきだったように思います。

山崎さんの「コミュニティデザイン」という言葉もその延長線上にあるとは思うのですが、サブタイトルの通り「ヒト」もしくは「関係」に真正面から向き合うことによって「コミュニティ」と「デザイン」という言葉が新鮮な可能性を持ったように感じました。同時にコミュニティという言葉に感じた僕の中の行き詰まり感をようやく払拭できたように感じられました。

コミュニティデザインの理論やハウツーがまとめられているのではなく、山崎さんがこれまで実践されてきた実例が多数掲載されているのですが、そこから山崎さんがどうやって今の山崎さんになったのかの一端や、実践することの大切さがみえてきますし、そこから得られるものは読む人によって変わってくるのではないでしょうか。

昨日、東川さんがテーマを見つけることの重要性を言われましたが、いろいろな立場の人がいる中で共有できるテーマを探り問題の突破口を開いていく場面がなんどもありちょっと感動的でもあります。(ダーツで物事が動き出すところもグッと来ました)
たぶん、この辺の感覚っていうのがすごく大事になってくるんだろうなぁと思いますし、そういう視点でもう一度読み返してみようと思っています。

また、同じく昨日の話で、関わり方、というのが出ましたが、自分はもろもろのことに対してどういう立ち位置で関わっていくか、というのが大きな課題です。僕自身はものをつくるのをやめられないと思いますし、一番にはそこで責任を果たしていきたいと思いこれまでやってきていますが、可能性をそこに絞ってしまうのもちょっと違うかなと感じています。
事務所の経営を考えながら自分に何がやれるか。何をやるべきか。どうやってやるべきか。はたまた誰とやるべきか。
まだまだ答えは出そうにありませんが、少しずつ見つけていきたいと思います。(と言いながらずるずる行きそうなので、どこかで集中的にやらないと自分自身も変われないんだろうなぁと思ったり。)

まー、とにかくマルヤガーデンズで山崎さんの仕事の一端に触れられたのは僕にとって(おそらく鹿児島にとっても)幸運だったと思います。どっちかというと僕は家でこもってコツコツ仕事するのが好きなんですが、やっぱりこの経験を活かさないのは勿体無いと思っています。

最後に本編より最後の一文

日本全国で生じているさまざまな課題は、当然僕たちだけで解決できるものではない。コミュニティデザインに取り組む人が少しずつ増えることで、ひとつでも多くのまちが自ら課題を乗り越える力を高めることを願っている。

それぞれの地域が抱える課題と向き合いたいと考える全ての方、また行政の方にも一読をお勧めします。

※あとこの本は脱いでもすごいです。。。

参考

まだ観れてませんがこれも面白そう。
Ustream.tv: 11/2マルモ出版&リクルート住宅総研 共同主催【特別授業「山崎亮の仕事術」】(1), hair5mm LIVE 11/02/10 03:40AM. 生活…

中原慎一郎さんと服部滋樹さんのトークショー。テーマはかなり近いです。
Ustream.tv: ユーザー d-department: トークショー「新しいコミュニティストアという存在」, Recorded on 11/04/30. デザイン

(たとえば)リノベ研の方で山崎さんに触発されて書いた記事他
『新しい公共』と自走力のアーキテクチャー – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)
オートポイエーシス的ぽこぽこシステム論 – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)
クラスタ化する社会とTwitterとチューリップ(前編) – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)
クラスタ化する社会とTwitterとチューリップ(後編) – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)

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